シェアキッチンで食品販売を始める方法|許可・費用・卒業の目安

手作りの焼き菓子やお惣菜をマルシェで売りたい。そう思って調べ始めると、最初にぶつかるのが「営業許可」と「設備」の壁です。この記事では、数百万円かかる厨房工事をせずに食品販売を始める方法として、シェアキッチンの使い方と探し方、そして自分の厨房へ移るタイミングを現場の経験から整理します。

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シェアキッチンで食品販売を始める方法|許可・費用・卒業の目安

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食品を販売するには「許可」と「専用の設備」が必要

ステンレスのシンクと作業台が並ぶ、許可基準を満たした業務用厨房の写真

自分で作った食品を販売するには、保健所の営業許可が必要です。

そして許可を取るには、施設基準を満たした調理場が欠かせません。

手洗い設備やシンクの数、床・壁の素材、換気など、細かい基準が決められています。

特に見落とされやすいのが、住宅用のキッチンでは許可が取れないという点です。

調理場は居住スペースと完全に区切られている必要があります。

「自宅のキッチンで作ってマルシェで売る」は、原則としてできないんですよね。

つまり食品販売を始めたい人は、最初に「許可が取れる場所をどう確保するか」という問題を解かなければなりません。

ここで多くの人が足止めされます。

自分で厨房をつくるのが難しい3つの理由

厨房工事の見積書と電卓が置かれたデスクの写真、または費用・期間を比較した図解

1つ目は費用です。

居住スペースと分けた専用の調理場をつくるには、内装工事と設備で数百万円かかることも珍しくありません。

売上の見込みがまだ立たない段階で、この金額を出すのはかなり重い決断です。

2つ目はスペースです。

自宅を改装しようにも、居住スペースから区切った調理場をつくれる間取りではない、というケースもあります。

テナントを借りる場合は、家賃や保証金が上乗せされます。

3つ目が時間です。

設備を揃えると決めても、融資の審査、工事業者の手配、施工、保健所の検査と、段階を踏む必要があります。

「売りたい」と思ってから実際に売れるまでに、数か月かかることも珍しくありません。

出店したいイベントの日程に間に合わない、ということも起こります。

この話と地続きの論点として、飲食店の原価率は30%と35%どっちが適正でも同じテーマを扱っています。

シェアキッチンなら初期投資を抑えてすぐ販売できる

シェアキッチンで複数の事業者が時間を分けて調理しているイメージ写真

そこで一般的な選択肢になるのがシェアキッチンです。

営業許可の基準を満たした厨房を、時間単位や月単位で借りられる施設のことです。

高額な工事はキッチン側がすでに済ませているので、利用者は設備投資をせずに始められます。

設備が整っているので、手続きが済めばすぐに製造・販売を始められるのも大きなメリットです。

工事を待つ数か月を飛ばせるので、イベント出店の機会を逃しにくくなります。

ひとつ注意したいのが許可の扱いです。

キッチン側が取得した許可の範囲で利用できる施設もあれば、利用者が自分の名前で営業許可を申請する形の施設もあります。

どちらの場合も施設基準はクリアしているのでハードルは大きく下がりますが、契約前に「誰の名義の許可で、どの品目まで販売できるか」を必ず確認しておきましょう。

あわせて、食品衛生責任者の資格も早めに取っておくと安心です。

シェアキッチンの探し方と、見つからないときの代替案

地図アプリでシェアキッチンを検索しているスマートフォンの画面

まずは「地域名+シェアキッチン」「レンタルキッチン 営業許可」などで検索してみてください。

ただ、実際に探してみると意外と近くに見つからないことがあります。

地域によっては数が少なく、空き枠も限られています。

私の場合も近所にはほとんどなく、車で30〜40分かかる場所のキッチンを確保しました。

移動時間は負担ですが、厨房を自分で持つコストと比べれば十分に見合うと判断しています。

探す範囲を少し広げるだけで、選択肢が増えることもあります。

どうしても見つからない場合は、仲の良い飲食店に相談する方法もあります。

お店が営業していない時間帯だけ厨房を使わせてもらう形や、お店の商品として販売してもらう形です。

この場合も許可の名義や販売できる品目の扱いが関わるので、管轄の保健所に事前に相談してから進めましょう。

判断の前提になる部分は、マルシェ・ネット販売で食品を売る前に必要な4つの準備【許可・資格・保険・税金】で整理しています。

販売を始める前に整えておきたい手続きと決済

マルシェのブースでキャッシュレス決済をしている場面の写真

場所が決まったら、事業としての準備も並行して進めます。

個人で継続的に販売するなら、税務署への開業届の提出が必要です。

書類の作り方が分からない場合は、マネーフォワード クラウド開業届 のような無料で開業届を作成できるサービスを使うと、記入漏れを防ぎやすくなります。

マルシェやイベントで販売するなら、キャッシュレス決済の準備も早めに済ませておきたいところです。

最近は現金を持たないお客さんも多く、決済手段が少ないだけで売り逃しが起きます。

カード決済端末の導入には審査があるので、出店日から逆算して申し込んでおきましょう。

たとえば Square は、アカウント作成から始められます。

許可・場所・届出・決済の4つが揃えば、ひとまず販売をスタートできる状態です。

必要な手続きや要件は自治体によって異なります。準備を始める前に、管轄の保健所の公式サイトで最新の情報を必ず確認してください。

あわせて読むと輪郭がはっきりするのが、カフェ開業、店舗より先に露店出店を選ぶ4つの理由です。

シェアキッチンを「卒業」するタイミング

シェアキッチン利用料と自前厨房の月額コストを比較した損益分岐のグラフ

シェアキッチンは初期投資が小さい代わりに、使えば使うほど利用料がかさむ仕組みです。

製造量や出店回数が増えると、毎月の利用料が思った以上に膨らんでいきます。

そこで定期的に「月々のシェアキッチン利用料」と「自分の厨房を持った場合の月額コスト(家賃・返済・光熱費)」を比べてみてください。

自分の厨房の方が安くなると判断できた時点が、卒業のタイミングです。

移動時間や予約の取りにくさが売上の機会を削っているなら、それも判断材料に入ります。

逆に言えば、それまではシェアキッチンで売上の実績と顧客をつくっておく期間です。

実績があれば融資の相談もしやすくなり、自分の厨房を持つときのリスクも下げられます。

最初の足がかりとして、シェアキッチンはとても合理的な選択だと思います。


まとめ

  • 食品を販売するには営業許可が必要で、住宅用キッチンとは区切られた専用の調理場が求められます。
  • シェアキッチンを使えば数百万円の工事費と数か月の準備期間を省き、すぐに販売を始められます。ただし許可の名義や販売品目は施設ごとに違うので、契約前に確認しましょう。
  • 利用が増えて自分の厨房を持つ方が安くなった時点が、シェアキッチンを卒業する目安です。

よくある質問

Q. 自宅のキッチンで作ったお菓子をマルシェで販売できますか?

A. 原則としてできません。食品を販売するには営業許可が必要で、許可を取るには居住スペースと区切られた専用の調理場が求められます。自宅で作りたい場合は、住居とは別に基準を満たした調理場を設ける必要があります。

Q. シェアキッチンを使えば自分で営業許可を取らなくていいですか?

A. 施設によって異なります。キッチン側の許可の範囲で利用できる施設もあれば、利用者が自分の名前で営業許可を申請する施設もあります。契約前に許可の名義と販売できる品目を確認し、不明な点は管轄の保健所に相談するのが確実です。

Q. シェアキッチンが近くに見つからない場合はどうすればいいですか?

A. まずは検索範囲を広げてみてください。車で30〜40分ほどの範囲まで広げると、選択肢が増えることがあります。それでも見つからない場合は、知り合いの飲食店に営業していない時間帯だけ厨房を借りられないか相談する方法もあります。

Q. シェアキッチンと自分の厨房、どちらが安いですか?

A. 利用頻度によって変わります。立ち上げ期や出店回数が少ないうちはシェアキッチンの方が圧倒的に安く済みます。利用が増えて月々の利用料が自前厨房の家賃や返済額を上回るようになったら、自分の厨房を持つ方が安くなります。

Q. マルシェ出店の前に開業届は必要ですか?

A. 継続的に販売して収入を得るなら、税務署への開業届の提出が必要です。開業から1か月以内が提出の目安とされています。あわせて青色申告承認申請書も出しておくと、節税の面で有利になります。

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