マルシェ・ネット販売で食品を売る前に必要な4つの準備【許可・資格・保険・税金】
「まずはマルシェで小さく売ってみたい」と思っても、自宅のキッチンで作ったお菓子や料理をそのまま販売することはできません。食品は人の口に入るものだからこそ、資格・営業許可・保険・税務という4つの準備が必要になります。この記事では、小さく始めたい人が最初に押さえるべき手続きを、順番にわかりやすく整理します。
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飲食は「小さく売って試す」から始めるのがおすすめ

いきなり店舗を構えるのではなく、まずはマルシェへの出店やネットショップでの販売から始めることをおすすめしています。
初期投資を抑えながら、自分の商品が本当に売れるのか、お客さんにニーズがあるのかを実際に確かめられるからです。
ただ、ここで多くの人がつまずくポイントがあります。
自宅のキッチンで作ったものは、原則としてそのまま販売できないんですよね。
衛生的な設備や知識がないまま作ると、異物混入・細菌の繁殖・食中毒といったリスクがどうしても生まれてしまいます。
こうしたリスクを防ぐために、食品を販売するにはいくつかの許認可や準備が法律で求められています。
具体的には「食品衛生責任者」「営業許可」「PL保険」「確定申告」の4つです。
なお、フリマアプリなどのプラットフォームは手作り食品の出品を規約で制限していることが多いので、ネットで売る場合は自分のショップや規約上認められた販路を選ぶのが安全です。
①食品衛生責任者:e-ラーニングで1日・1万円前後で取得できる

1つ目は食品衛生責任者です。
営業許可を受ける施設ごとに1人置くことが義務づけられている資格で、食品を扱って商売をするなら必ず必要になります。
講習では、食中毒の原因となる細菌、衛生管理の方法、食品の安全を保つための基礎知識を包括的に学びます。
取得方法は、各都道府県の食品衛生協会などが実施する「食品衛生責任者養成講習会」を受講するだけです。
講習は1日(おおむね6時間程度)で、受講料は地域によって異なりますが1万円前後が目安です。
試験で落とすためのものではなく、内容を理解すれば修了できるので、難易度は高くありません。
対面講習もありますが、個人的には自分のペースで受けられるe-ラーニングがおすすめです。
「(都道府県名) 食品衛生責任者養成講習会」と検索して申し込むと、受講用のIDとパスワードが発行され、後日テキストが郵送されてくるのが一般的な流れです。
e-ラーニングに対応していない地域もあるので、申し込み前に確認しておきましょう。
この話と地続きの論点として、飲食店の原価率は30%と35%どっちが適正でも同じテーマを扱っています。
②営業許可:売るものによって許可の種類が変わる

2つ目は保健所の営業許可です。
どんな許可が必要かは、何を作って売るかで変わります。
たとえば焼き菓子を作って包装して売るなら「菓子製造業」、ホットドッグやドリンクのようにその場で調理・提供するなら「飲食店営業」の許可が必要になる、というのが基本的な考え方です。
許可を取るには、施設が基準を満たしているかを保健所に確認してもらう必要があります。
調理用とは別の手洗い設備があるか、シンクの数や大きさは足りているか、消毒の設備があるか、衛生管理をどう行うか、といった点が立ち入り検査でチェックされます。
2021年の食品衛生法改正以降は、HACCPに沿った衛生管理の計画と記録も求められるようになりました。
ここで押さえておきたいのは、自宅のキッチンは居住スペースと区切られていないため、基本的に許可が下りないということです。
自宅に専用の製造スペースを作るなら、給排水工事や間仕切りなどで相当な費用がかかります。
また、マルシェ会場で調理して提供する場合は、会場ごとに臨時の営業許可や届出が別途必要になることもあります。
基準や必要な手続きは自治体によって違うので、必ず管轄の保健所に事前相談してください。
自前の設備が難しいならシェアキッチンを活用する

いきなり自前で許可の取れる設備を整えるのは、小さく試したい段階ではハードルが高いですよね。
そこで選択肢になるのが、営業許可の基準を満たした設備を時間単位で借りられるシェアキッチンです。
料金は施設によって幅がありますが、1時間あたり1,000円台から利用できるところも多く、工事費をかけずに販売できる環境を手に入れられます。
仕組みは施設ごとに異なり、施設の設備を使って自分名義の営業許可を取るタイプもあれば、運営側の許可の範囲内で製造できるタイプもあります。
契約前には「自分で許可申請が必要か」「作りたい商品がその施設の許可の範囲に入っているか」「予約の取りやすさ」を必ず確認しておきましょう。
許可の扱いを曖昧なまま始めてしまうのが一番危険なので、保健所とシェアキッチンの両方に確認しておくと安心です。
判断の前提になる部分は、飲食店こそデータを集めるべき理由で整理しています。
③PL保険:年間数千円で数千万円の賠償リスクに備える

3つ目はPL保険(生産物賠償責任保険)です。
自分が作った食品が原因で食中毒が起き、お客さんに被害が出てしまった場合、作り手には賠償責任が生じます。
被害の程度によっては、数百万〜数千万円の請求が来る可能性もゼロではありません。
また、マルシェでは風でテントが倒れてお客さんがケガをする、といった事故も起こり得ます。
こうした出店中の事故は施設・イベント賠償の範囲になるため、出店者向けにPL保険と一緒にセットになったプランを選ぶと、両方のリスクをまとめてカバーできます。
保険料は補償内容によりますが、小規模な出店者向けなら年間数千円程度から加入できるものが多いです。
一度の事故で事業も生活も立ち行かなくなるリスクを、数千円で避けられると考えれば、入らない理由はないと思います。
マルシェによっては出店条件としてPL保険への加入を求められることもあるので、早めに準備しておきましょう。
あわせて読むと輪郭がはっきりするのが、飲食店の売上を伸ばす鍵はリピート率です。
④確定申告:小さな売上でも「事業」として記録しておく

4つ目は確定申告です。
これは食品衛生とは直接関係ありませんが、販売を事業としてやる以上、売上と経費をきちんと記録して所得を計算する必要があります。
所得が出れば所得税がかかるので、毎年の確定申告で申告・納税します。
会社員の副業として始める場合でも、副業の所得が年間20万円を超えれば原則として確定申告が必要です(住民税の申告は金額にかかわらず必要になります)。
継続して販売していくつもりなら、開業届を出して個人事業主として始めると、青色申告の特別控除などのメリットも受けられます。
開業届はマネーフォワード クラウド開業届のような無料の作成サービスを使うと、質問に答えるだけで書類を用意できます。
一番大変なのは、申告時期にレシートをまとめて整理することなんですよね。
材料費・シェアキッチン代・出店料・保険料などは経費になるので、最初から記録の習慣をつけておくのがおすすめです。
帳簿付けから申告書の作成まで一気通貫でやりたいなら、マネーフォワード クラウド確定申告のような会計ソフトを比較して、自分に合うものを選ぶと手間が大きく減ります。
まとめ
- 自宅のキッチンで作った食品は原則として販売できず、「食品衛生責任者」「営業許可」「PL保険」「確定申告」の4つの準備が必要です。
- 営業許可は売るものによって種類が変わり、自前の設備が難しい場合はシェアキッチンを活用すると初期費用を大きく抑えられます。
- PL保険は年間数千円程度で大きな賠償リスクに備えられ、確定申告に向けて最初から売上と経費を記録しておくことが大切です。
よくある質問
Q. 自宅のキッチンで作ったお菓子をマルシェで売ってもいいですか?
A. 原則として販売できません。食品を販売するには、保健所の基準を満たした施設で製造し、菓子製造業などの営業許可を受ける必要があります。自宅のキッチンは居住スペースと区切られていないため、基本的に許可は下りません。シェアキッチンなど許可に対応した施設を利用するのが現実的です。
Q. 食品衛生責任者の資格はどれくらいで取れますか?
A. 各都道府県の食品衛生協会などが行う養成講習会を1日(おおむね6時間程度)受講すれば取得できます。受講料は地域によって異なりますが1万円前後が目安です。e-ラーニングに対応している地域なら、自宅で自分のペースで受講できます。
Q. シェアキッチンを使えば営業許可は不要ですか?
A. 施設によって異なります。シェアキッチンの設備を使って自分名義の営業許可を取るタイプもあれば、運営側の許可の範囲内で製造できるタイプもあります。契約前に施設と管轄の保健所の両方に、作りたい商品がその許可で販売できるかを確認してください。
Q. マルシェ出店にPL保険は必要ですか?
A. 法律上の義務ではありませんが、加入を強くおすすめします。食中毒や出店中の事故で賠償責任が生じた場合、高額な請求を受ける可能性があるためです。マルシェによっては出店条件として加入を求められることもあり、年間数千円程度から加入できるプランがあります。
Q. 副業でお菓子を売った場合も確定申告は必要ですか?
A. 会社員の場合、副業の所得(売上から経費を引いた額)が年間20万円を超えると原則として確定申告が必要です。20万円以下でも住民税の申告は必要になります。材料費や出店料などは経費になるので、日頃から記録しておきましょう。
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この話と地続きの論点として、シェアキッチンで食品販売を始める方法でも同じテーマを扱っています。