飲食店の味を90点から92点に上げても売上は伸びない理由

「もっと美味しくすれば、もっとお客さんが来てくれるはず」——そう思って味の改善ばかりに時間を使っていませんか。実はその努力、お客さんには伝わっていないかもしれません。DRIPLOG EP2では、飲食店オーナーが陥りがちな『美味しさ追求の落とし穴』と、売上を伸ばすために本当に注ぐべきリソースの方向についてお話しします。

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飲食店の味を90点から92点に上げても売上は伸びない理由

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「美味しければ売れる」は本当か?個人飲食店オーナーが最初にぶつかる勘違い

賑わう商店街・駅前の飲食店が並ぶ風景。複数の店舗が選択肢として並んでいる様子

飲食店を始めるとき、誰しも「できるだけ美味しいものを提供したい」と思うはずです。

料理が好きだから、お客さんに笑顔を届けたいから、親から引き継いだから——理由はそれぞれでも、美味しさへのこだわりは多くのオーナーに共通する想いだと思います。

ただ、そこで多くの人が無意識に持ってしまう前提があるんですよね。

それが「美味しければ売れる」「美味しいものを作れば、他の店じゃなくて自分の店を選んでもらえる」という考え方です。

でも、ちょっと冷静に街を歩いてみてください。

道路脇でも駅前でも、目に入る飲食店はどれも基本的に美味しいんです。

そんなたくさんの美味しいお店の中から自分の店を選んでもらうために、さらに味を磨こうとする——これは一番思いつきやすいアプローチですが、ここに落とし穴があります。

🎧 Podcast 00:30 〜

味の点数で考える「価値の伝わり方」——50点→90点と90点→92点の決定的な差

味の点数のグラフ。50→90点の大きな改善と、90→92点の微差を視覚化した図解

味の改善には、お客さんに伝わる改善と、伝わらない改善があります。

これを点数で考えるとわかりやすいんです。

たとえば、50点だった味を90点まで引き上げた場合。

これはお客さんも明確に違いを感じられて、「ここは美味しい」と評価してくれる。

喜んで対価を払ってくれます。

これは健全で、絶対にやるべき改善です。

一方で、90点の味を92点に上げた場合はどうでしょうか。

一般的な飲食店の味が仮に75点だとすると、75点と90点の差はお客さんもわかります。

でも、90点と92点の2点差を、お客さんは認識できるでしょうか

お客さんは私たち作り手ほどその料理を食べていませんし、研究もしていません。

評論家でもベテラン審査員でもない。

そんなお客さんに2点の差を感じてもらうのは、現実的にはかなり難しいんですよね。

🎧 Podcast 02:00 〜

「お客さんが認識できない改善」は売上につながらない努力になる

厨房で真剣に味見をする料理人。職人としてのこだわりと経営判断のバランスを示す写真

味の改善自体は、もちろん止める必要はありません。

職人として、料理人として、味を磨き続ける姿勢は素晴らしいものです。

ただ、経営の視点で見ると話が変わります。

売上を伸ばすために行う改善は、お客さんがその差を価値として認識できる範囲でないと、売上にはつながらないんです。

90点を92点にするのに必要な時間・労力・コストを思い浮かべてみてください。

仕入れの見直し、レシピの微調整、技術の習得——どれも安くないリソースです。

それを投下しても、お客さんが違いに気づかなければ、リピート率も客単価も動かない。

これは経営として見ると「意味のある努力」とは言いにくいんですよね。

趣味として味を追求するのと、事業として売上を伸ばすのは、別の話として整理しておく必要があります。

🎧 Podcast 04:00 〜

90点まで来たら、次に投資すべきは「味以外」のリソース配分

丁寧に接客するスタッフ、または落ち着いた雰囲気の店内インテリア。味以外の顧客体験を象徴する写真

では、味が90点まで来たお店が、次に売上を伸ばしたいときにどこにリソースを注ぐべきか。

答えは「味以外の部分」です。

具体的には、接客・内装・空間設計・SNS発信・メニュー表のわかりやすさ・席間の取り方・BGM・照明といった、お客さんが実際に体験する全ての要素ですね。

これらは2点の味の差よりもはるかに認識されやすく、評価につながりやすい領域です。

たとえば、同じ料理でもスタッフの一声がある店と無い店では満足度がまったく違いますし、内装の清潔感や雰囲気は来店動機そのものに直結します。

リピートしてもらうための強い動機にもなる。

味の改善を続けながらも、経営者としてのリソース配分は「お客さんが認識できる価値」に向ける——これが90点まで来たお店の次の打ち手だと思います。

🎧 Podcast 06:00 〜

売上を伸ばすための「優先順位の付け方」——個人店オーナーが今日から見直せる視点

アンケートや口コミを確認するオーナーのデスク周り。手元のノートとコーヒー

自分のお店が今、味の何点くらいに位置していて、次に改善すべきは味なのか味以外なのか。

これを定期的に振り返るだけでも、リソースの使い方は変わってきます。

判断材料として有効なのが、お客さんの声です。

アンケート・口コミ・常連さんとの会話の中で「美味しい」以外にどんな言葉が出てくるか。

「居心地がいい」「スタッフが親切」「使い勝手がいい」といった言葉が少ないなら、そこが伸ばしどころかもしれません。

逆に「もう少し○○の味がこうなら」という声が複数同じ箇所から出てくるなら、味の改善が顧客価値につながるサインです。

改善の優先順位は、自分の感覚ではなくお客さんの認識をベースに決める——これが今回お伝えしたかった一番大事なポイントです。

🎧 Podcast 08:00 〜


まとめ

  • 美味しさへの価値は作り手ではなく顧客が判断するものです。
  • 50点を90点にする改善は売上につながりますが、90点を92点にしてもお客さんはその差を認識できないことが多いです。
  • 味が一定水準に達したら、次は接客・内装・空間設計など「お客さんが認識できる価値」にリソースを注ぐべきです。

よくある質問

Q. 飲食店の味は何点まで上げれば売上につながりますか?

A. 厳密な点数はありませんが、一般的な飲食店の平均より明確に上回るレベル(例えば75点に対して90点)まで上げると、お客さんもその差を認識して評価につながりやすくなります。逆にそこから先の微差は顧客には伝わりにくいため、別の領域に投資する方が売上効果は出やすいです。

Q. 味の改善はやめた方がいいのですか?

A. やめる必要はありません。職人としてのこだわりや料理の進化は続けるべきです。ただ、経営判断として「売上を伸ばす投資」をどこに振り分けるかを考えるときには、味の微改善よりも顧客が認識できる接客や空間の改善を優先する方が効果が出やすい、というだけの話です。

Q. 味以外で売上に効く改善には具体的に何がありますか?

A. 接客の質、内装・照明・BGMといった空間体験、メニュー表のわかりやすさ、席間の取り方、清潔感、SNSでの世界観発信などです。これらはどれもお客さんが直接体験して評価する要素なので、改善した差がリピート率や口コミに反映されやすい領域です。

Q. 自分のお店の味が今何点くらいか、どうやって判断すればいいですか?

A. お客さんのアンケート・口コミ・常連さんとの会話を集めて、「美味しい」以外にどんな言葉が出ているかを見るのが現実的です。同業のオーナー同士で食べに行き合って率直なフィードバックを交換するのも有効です。自分の主観だけで判断しないことが大事です。

Q. リソースを味以外に振ったら、料理の質が下がりませんか?

A. 現状の品質を維持する努力は続けながら、「さらに上げる」ための追加リソースを別領域に振り分けるイメージです。日々のオペレーションの中で味を維持する仕組みを作っておけば、味は下げずに新しい投資をすることは十分可能です。

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